回廊の途中で見かけた、主上と桓堆
『すとれす発散』の効果か、主上の表情はいつになく明るく、屈託ない
桓堆が身を屈め、何かを告げる
途端に響く、伸びやかな笑い声
私の知らない顔で、知らない声で笑うその様子に、ちり、と、胸が疼いた
その時 私の視線に気付いたように、つと主上が振り返った
「あ、浩瀚!」
先刻と同じ、朗らかな笑顔を向けられ 私の心の棘は、瞬時に溶け去った
たったそれだけのこと、なのに
(ああ桓堆、笑わないでくれ。不様なことは自分が一番分かっているのだから)
2009.04.15