「お慕い申し上げております」
そう告げられた時、どんな返答をしたのか覚えていない
だが、肯定の言葉を伝えたのは、確かなようだった
浩瀚が、嬉しそうにふわりと微笑んだから
押し殺して、見て見ぬふりをして、それでも消せなかった想い
伝えたら、その瞬間に失ってしまうと信じていた恋だった
そんな想いが通じる日が来るとは、思ってもみなかった
「触れても、よろしいですか?」
いまだ茫然とする私を慮かるように、浩瀚がそっと尋ねてきた
辛うじて、うん、と頷いた私の頬に、彼の手が添えられた
「私は、王であるあなたの悩みや孤独を、全て理解することはできないかもしれません。
ですが、せめてこれからは、あなたがひとりで泣く夜がないように」
泣きたくなったら私を呼んで
(それはきっと、永遠に破られることのない誓い)
2012.07.21
【改】2020.05.01
原題『泣きたくなったら僕を呼んでね』
規約に則り、一部変更して使用